パン女: トーストガールにインタビュー

パン女: トーストガールにインタビュー

日本人女性パフォーマンスアーティスト、トースティーさんに、頭上にトースターを乗せたり、両手がフランスパンの女を演じ出した経緯を尋ねた
Toast Girl
Baguette Bardot poses in a Boulangerie kitchen with french boulanger (dancers) and her baguette baby for the video clip "Contact." Photo by Alain Sacrez.

トースターが付いた工事用ヘルメットに明るい赤毛のカツラを被ったパフォーマンスアーティスト、トースティーは、文字通り、頭上でパンを焼くトーストガールを演じる。 それから時折、ワンカップ酒とたわしが好きな幻の一発屋「東京タワー C 子」も演じることもある。 このように多彩なパフォーマンスで活躍する突飛なアーティスト、トースティーさんは、歌やダンスをライブ、クラブ、テレビ番組、国内外で活躍中。

彼女の最新パフォーマンスとも言えるバゲットバルドーは、フランスパンの両腕を持つ悲劇の金髪女性だ。 フランス人からの非難を覚悟で昨夏パリを訪れたバゲットバルドーだが、嬉しいことに初CD と初 DVD が今月リリースされることになった。 Nanzuka Underground でグループ展を終えたばかり、そして新たな発売イベントを控えたトースティーさんに、パンやパフォーマンス、山伏魂について話を聞いてみた。

トースティーさんは、彼女のCD と DVDのリリースを記念したイベント、French Toast Deluxeを 4 月 10 日にSuper Deluxeで開催した。 人間エッフェル塔、パロディーダンサー、バゲット商人が現れるフレンチトーストオーケストラを従えたバゲットバルドーのステージなど、奇抜なラインナップである。

CNNGo:(以下、原文英語) それぞれ精巧なストーリーを持つ沢山のキャラクターを今まで生み出されていますが、今回はバゲットバルドーの登場ですね。 彼女のストーリーを聞かせてくださいますか?

トースティーさん(以下敬称略): 2001 年頃から構想は練っていたのですが、実際にバゲットバルドーとしてパフォーマンスを始めたのは 2 年前です。 最初の頃は、バゲットを両手に付けてダンスをしていただけで、ネーミングやキャラクター設定といったものは後で考えていました。

CNNGo: 本当にバゲットの中には手があるんですね?

Toast GirlToastie performs as Tokyo Tower C Ko.トースティー: はい。バゲットの中身をくり抜いて、手袋のように付けています。 実は、毎回のショーの準備で一番大変なのは、丁度良いバゲットを見つけることなのです。 細すぎず、出来立てのバゲットでないと駄目なのです。

CNNGo: トーストガールとバゲットバルドーを見ていると、トースティーさんが非常にパン好きなイメージを持ってしまうのですが?

Toastie: パンの好き嫌いとは全く関係ありません! それに、頭上でパンを焼くことと両手にバゲットを持つことの動機も、全く別のものなのですよ。 そもそも、トーストガールは、「パン」というよりも「トースター」のイメージなのです。ノートに収めてあった、私の頭の中の思考や記憶が飛び出してくるといった感じでしょうか。 ちなみにお告げは空からやって来ます。

CNNGo: 最初にトーストガールを思い付いたきっかけを教えてください。

Toastie: オーストラリアで絵画科を専攻していたのですが、描くことに嫌気がさしていました。 それで、トーストを作リ始めたのです。 当時、台所で唯一自動の物と言えば、トースターだけだったので、私の目には生き物のように見えたのですね。 それで、そんなことがありえない事はもちろん分かっていたのですが、トースターが私のことを分かってくれる友達のような気がしたのです。 ポンっと焼きあがるトースターの音は、まるで返事をしてくれている声のように聞こえて。 それが嬉しくて沢山トーストを作ってしまったのです。当時は、本当にパンはあまり好きでなかったので、作ったトーストをどうしたらいいか困ってしまいました。 それで、「人前でやればいいんだ。」と、思い付きました。 アートスクールに通っていたこともあって、「パフォーマンスアート」と呼んでもらえました。 このおかげで、絵画を描く必要もなくなり、パンを焼くだけで卒業できました。&

CNNGo: 最初にトースター、次に掃除機、そしてタワシと言うように、トースティーさんのパフォーマンスには、家事の必需品がたくさん登場しますよね。 これらに託された思いのようなものはあるのでしょうか?

Toast GirlBaguette Bardot paints in chocolate with her baguette hands.トースティー: 身近に存在するものと通じ合いたいという思いはありますね。 そのままでも十分にすばらしい物に囲まれているのに、なぜその物をよく見ようともせず、新しい物を作り続けるのでしょう? オーストラリアにいた頃は、少々気分が沈んでしまった時も、エネルギーに満ちていました。 本当にトーストを作れたり、掃除機で飛べるという気持ちになれたのです。 いつか、それが本当に可能になって、 電気が要らなくなる日が来るかもしれませんね。 自分自身で車の充電が出来てしまう日が来るかもしれません。 人間の体の中には、たくさんの技術や能力が備わっていると思うのです。 そういった秘められた能力を私達は無視しがちですが、ぜひ使ってみるべきだと思います。

CNNGo: トースティーさんは、芸術関連の場所よりもクラブなど娯楽施設でパーフォーマンスを行うことが多いと思いますが、アーティストとして不満を感じませんか?

Toastie: パフォーマンスの上辺だけしか観られていないことが多いことは分かっています。 みんな、頭の上でパンを焼くのが可愛いと思っているのです。 アートとエンターテイメントの間を見つけられればいいのですが、実際には非常に難しいですね。 エンターテイメントとして受け取られてしまえば、アートではなくなってしまいますし、 逆に、アートだと思われれば、エンターテイメントではなくなってしまう恐れがあります。 パフォーマンスアートと、パフォーミングアーツ(舞台芸術)は、実は全く違うのです。 舞台芸術には、観客を感動させるというゴールがあります。 ですが、パフォーマンスアートには終わりがなく、自分自身で答えを見つけなければなりません。 それで 12 年間もパフォーマンスアートの中に身を置く羽目になったのです。 山伏のように、目に見えない自然の力など、内に秘められた「何か」を探し続ける修行者の気持ちですね。


カリフォルニア州出身、2002 年に来日。 美容からバー関連まで幅広い分野の文化記事を執筆している他、自身のポートフォリオも度々オンライン legwork.wordpress.com に掲載している。
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